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愛----それは神的本性の顕現であり、その本性にとって時間はない。それゆえ愛は現在、ただ今、時々刻々にのみ現れるのである。

 愛するということは、一般的に言って善をおこなうということである。われわれはみんな愛をそう理解しているし、そのほかに理解しようはない。

 それに愛は、けっして単なる言葉ではなく、他者の幸福を目指す行動である。

 もしもある人が、将来もっと別の、より大きな愛の行為をするためにとの名目で、現在のごく小さな愛の要求には応じないでおくほうがいいなどと考えるなら、その人は自分自身なり他人なりを欺(あざむ)いているのであって、自分一人のほかは誰も愛していないのである。
 

未来の愛などという代物(しろもの)はない。愛は、ただただ現在における行為である。現在愛を示さない人間には、愛は存在しないのである。

トルストイ : 著 :北御門二郎:訳 : 「文読む月日」:中:7月21日 : ちくま文庫