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ほとんどの人びとが、正しい生活をするよりも、知識を得ることを先にする。だからこそ、人びとはしばしば迷うのであり、そのために、ほとんど実を結ばないか、全く実を結ぶことがないのである。

 あなたに備えられているものをすべて生かし抜きなさい。神はあなたの、その善き意志を助けてくださるだろう。

 思うようにならないことや、反対に出会うことは、私たちにとってよいことである。それは、人間のこころに、自分がここでは故郷を持たない者であることを思い起こさせ、この世の事物に望みを置いてはならないことを教えてくれることが多いからである。

 多くの人びとは、大きな試練からは守られておりながら、日常生活において屈服するのである。それ故に、大きな事柄において自信を持ってしまうことのないように謙遜にならなければならない。そうでないと、身についているはずのところで、弱くなってしまうからである。

 いつもまずあなた自身に目を留めなさい。まず自分自身を戒めなさい。友人を戒めるのはその次である。

 なぜあなたは、自分が企てたことを実行するのを延期しようとするのか。立ちなさい。今すぐ始めなさい。そうしてこう宣言しなさい。今こそ実行の時、今こそ戦いの時、今こそ自分自身を改めるよき時、と。不幸と試練の日こそ、自己を際立たせる機会なのである。

 自分が死ぬ時のことをいかなる時も眼前に思い浮かべ、日々死ぬことに備えているひとは、さいわいである。朝には、また夜を迎えることができ るなどと考えないようにしなさい。夜には、自分には朝が約束されているなどと、大胆な考えをしないようにしなさい。いつも備えて、死に驚かされることがな いように生きなさい。

 いつも終わりを思い続けなさい。そして、失われた時は決して戻ってこないことを知りなさい。

 まずあなた自身のうちに平和を作りなさい。そうすれば、他の人びとをも平和に導くことができる。 平和を作るひとは、学者よりも多くの益をもたらすことができる。

 この悲惨な世においては、多くの苦悩、さまざまな艱難を担い抜く覚悟をしていなさい。あなたがどこにおろうが、そうなることであろう。どこ に身を隠そうと、そのことを知るであろう。そうならざるを得ないのである。艱難や苦悩を逃れるためには、それを耐える以外に方法はないのである。

 愛に生きる者には翼がある。喜びに溢れて走り回り、自由で、どこにあっても束縛を知らない。自分に与えられる贈り物には目を留めず、すべての賜物を越えて、それを与えてくださる方に目を向ける。

 わが子よ、従順に生きる生活から自由になりたいとする者は、恵みからもすり抜けることになる。ただ自分のものだけを欲する者は、皆と共通のものを得るだけである。

 内的な人間がきちんと整えられて生きているならば、外の敵を退けるのは容易である。あなたが一筋に神の霊と共に生きていなければ、あなたがあなた自身にとっての最悪の、やっかいな敵となる。

 わが子よ、あなたは、すべてのもののために、すべてを与えなければならない。そして、あなた自身のために何ものをも得てはならない。

 私自身がしてもらいたくないことに対しては、無条件で注意しなければならない。他人については沈黙を守り、すべてを無思慮に信ぜず、軽率に他人に更に語り伝えたりしないようにすれば、何とよく、穏やかなことであろうか。

 主よ、あなたご自身をお与えください。私はそれで十分です。あなた以外にいかなる慰めも慰めになりません。あなたなくしては、私は存在しません。あなたが訪ねてくださらなければ、生きることができないのです。

 誰でも愛する者は、自分が愛する物に、最上の、最も美しい場所を提供する。そこでこそ、愛があることを知ることができるのである。

C.メラー : 編 : 魂への配慮の歴史4 「中世の牧会者たち」 : 日本基督教団出版局