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命の喜び伝えたい

 6年生の女の子が同級生を切りつけて死亡させるという痛ましい事件が報じられた。生きる意味をいまだ何も理解していない世代が人を殺す。ゲーム感覚というしかない。凶悪犯罪の低年齢化を、どうすればよいのだろうか。

 最初に思ったのは、子どもが生まれた時の家族の喜びを伝えることだ。一つの命が生まれ出るまでの10ヶ月間に、母親が期待とともにどんな辛い思いをし、 出産の苦しみにいかに耐えたのか。そして無事生まれた時の両親や祖父母の大きな感激。大変な過程を経て生まれた命は、自分だけでなく、友人に対しても貴重 なものと感じられるはずである。

 次に、障害がある子どもや、重病で何年も入院を続ける子どものボランティアを、親子で年に一回でも経験するといい。生きることがどんなに大変で、一方 で、また大きな喜びか。家と学校だけの狭い視野からは想像も出来ない様々な子どもたちの懸命な生き様を教えるべきだと思う。

 最後に玩具メーカーの方に言いたい。次々と敵をやっつけるゲームは一切やめてほしい。幼い頭で毎日これを繰り返していたら、命は簡単に再生されると錯覚してしまう。子どもの罪は大人の責任である。夢と平和を愛した、手塚治虫の世界に戻ろうではないか。

斎藤佳子 : 著 : 「命の喜び伝えたい」 : 2004年6月7日朝日新聞統合版