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リルケの祈り

まさに世紀の代わろうとする、そのときにわたしは生きる。
大きなページのあおる風を肌に感じる。
神様と、きみとわたしが書き入れてきた

そのページが、見知らぬ手のなかでおごそかにめくられる。

新しいページの輝きが感じられる。
そこではあらゆることが起こり得るのだ。

静かな諸力がそれぞれに活動の幅をためし、
互いに定かならぬ視線を交わす

                    時祷詩集〜第一部「僧院生活の巻」より

 

世界がめまぐるしく
雲の形のように変化しても、

すべて完成されたものは
太古へ還っていく。

世の移り変わりがさらに
大きく、奔放になっても、
あなたの原初の歌は生き続ける、
竪琴をもつ神よ。

苦悩の意味は知られておらず、
愛は会得されていない。
死においてわれわれを引き離すものも

まだその正体を見せていない。
国原にひろがる歌だけが
きよめ、たたえる。

                    「オルフェイスによせるソネット」より

リルケ詩集 : 神品芳夫 編・訳 : 小沢書店