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フランチェスコのツバメと民衆への祈り

 説教したって何になろうか、兄弟たち?
 あなたがたに天国への小径を示したって、何になろうか?あなたがたはすでにその道を歩いているのだ。なぜなら、貧しくて、つつましく、無学で、よく働き、申しぶんなく神に愛されているのだから。
 兄弟たちよ。

 この世の人生は偽りの夢だ。ほんとうの生、永遠の生は、あそこ、天国で私たちを待っている。
 だから、目を伏せて地面を見ずに、みなさん、反対に目を上げなさい。あなたがたの魂は籠のなかでたたかい、傷ついているが、籠を開けて、飛んでゆきなさい!
 わが妹なるつばめたちよ、お願いだ、しゃべらせてくれ・・・・・・・

 大地に春をもたらしてくれる魅惑的な、小さな、神の使者たちよ、暫く翼をたたみ、そっと屋根の上に並んで聞いてくれ。私たちはつばめや人間をお創りになった神様のことを、私たちみんなの父であるお方のことを話しているのだ。

彼を愛しているのだったら、親切なつばめたちよ、あなたがたの兄弟であるこの私を愛しているのだったら、黙っていてくれ!アフリカへの旅立ちの準備をしていることはわかる。神がお援けくださるだろう!けれども、途につくまえに、彼の言葉を聞くのもいいことだよ。

みすず書房 : N.カザンスキ 著 (清水 茂 訳) : 「アシジの貧者」