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「日本は多くの意味で、非常に閉鎖的と感じるね。だが、いまや世界はすごいスピードで一つになろうとしているのだから、日本は他の国の人々に 対してもっと心を開く必要があるだろうね。ただし、私が会う日本人のうち二、三割は、他の文化や人々に対して開放的だと思う。

そういう人はたいがい外国に 出かけて、豊かな経験をしているんだ。でも、私が話をしていて本当に面白いと思うのは日本の年配の人たちだね。私は彼らと禅、茶道、歌舞伎、相撲や日本人 の自然に対する尊敬などについて話し、謙遜の精神や彼らが戦後経験してきた葛藤を学んだ。戦争によって荒廃したこの国を立て直した強い意志と深い知性を彼 らは持っている」

 「日本に来る前は、みんながお互いに助け合い、共同体の調和という意識を持っているんだと思っていた。ところが、日本に来てから目にしたのは、誰もがみ な自分のことだけをやっているという姿だった。まるで工場みたいだ。労働者は自分の仕事だけをし、まるで機械の歯車のように働いている。そして、まわりの 人を助けようとは思いもしない。他人のことなど、まったく眼中にないんだよ。

 集中力についても同じことが言える。日本人は集団として高度に組織化されていて、大いなる集中力と内的バランスを持ち、共同で仕事をすることのできる人 たちだと私は思っていた。しかし日本でサッカーをしてみて、この国の人々がすぐに集中力を失うということに気がついたんだ。

とくに若者たちは、アメリカ人 の真似ばかりして外見だけを気にしていると思う。アメリカ文化の悪い面を取り入れて、自分たちが受け継いできた良い面---たとえば年配の日本人が持って いた集中力と精神力を、失ってしまったように感じる。日本人は自分たちの伝統を取り戻すべきだと思うね」

 「サッカー・スクールは日本のサッカー界にとってとても重要だが、この国の教育の未来にとっても重要だと思う。サッカーは歓びと楽しみを与えてくれる。 もちろん、いい時もあれば悪いときもあるが。それは人生と同じさ。そしてこの少年たちにとって、サッカーの世界は、人生のにおいて重要なことを学ぶ場所で もあるんだ。

権利と義務、自由と尊敬などについてね。これらのことは、豊かでよりよい人生を生きるために欠くべからざるものだし、少年が本来の自分自身を 見いだして、一人前の男になるために必要なものなんだ」

ドゥンガ 「日本にサムライは、いるか?」 : エバレット・ブラウン : 著 : 「俺たちのニッポン」
 : 小学館

ドゥンガはブラジルのサッカーを代表する選手で、90,94,98年連続してサッカーワールドカップに出場した。日本には95年にジュビロ磐田に移籍