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マリアとは、人々から知られることのない、注目されることのない大工の妻、職人の妻である。

マリアとは、無名で卑しいということにおいてのみ 神から注目され、救い主の母となるようにと選ばれた者である。マリアが選ばれたのは、何らかの人間的な美徳によるのではなく、確かな、偉大な信仰によるの でもなく、また謙虚さのためでもない。

マリアが選ばれたのは、もっぱら、神の恵み深い意志が、卑しいもの、無名の者、低い者をこそ愛し、選び、偉大にしよ うとしたからである。

 神は人間の卑しさを恥とは思わず、人間のただ中に入り、道具としてひとりの人間を選び、最も奇跡が起こりそうもないところで奇跡をなした---そしてそ の結果、生まれたのが飼葉桶のキリストである。

人々が「失われた」と言うところで、神は「見いだした」と言い、人々が「裁かれた」と言うところで、神は 「救われた」と言い、人々が「否」というところで、神は「然り」と言う。

人々がなげやりな気持や、高慢から、目をそらせるようなところで、神は他のどこに もない愛のこもった目を向けるのである。

ボンヘッファー : 著 : (村椿嘉信:訳) 「主のよき力に守られて」 : 新教出版社