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「永遠なる主は愛である」。これがわたしの信仰の第一の基盤だ。
第二の基盤は愛されている確信。
第三は、我々のうちにあるこの不思議な自由は<愛>に愛を以って応えるため以外にその存在理由はない、という確信だ。
 自由の素晴らしさは、われわれが・・・から自由になるのではなく・・・のために自由になるところにある。何のために?愛し愛されるために。他人を地獄と考えるなんて、とんでもない。地獄とは自足した人間の孤独のことだ。

 「人間はなぜこの世に生まれるのか?」という質問に対しては、わたしはただ「愛することを学ぶため」と答える。考えられないほど巨大なこの 宇宙の存在は、どこかに、何か自由を持った存在がなければ意味がない。小さな惑星の蚊のように小さな人間は宇宙に押し潰されてしまうかもしれないが、それ でも人間は宇宙より大きい。なぜならば、パスカルが言うように、人間は自分が死ぬことを知っているから。しかも、愛しながら死ねるのを知っているからだ。 愛が可能になるには、山があり海があり氷河があり星があるだけでは足りない。自由な存在がなければならないのだ。そしてこの自由な存在の未来は「汝、愛に 巡りあはん」だ。われわれは<愛>に巡り合うように定まっている。我々の心の空隙にその渇望がいつもかんじられているように。

 死を別離と感じる人は多い。たしかに、残る我々には別離だが、死んだ当人は想像できるかぎりの最高の邂逅、神との出会い、を知るのだ。それ がどんな風に行われるかは分からないが、同時に、これまでに生きた約九百億の人間とも出会うと、わたしは確信している。それぞれ二十億以上の太陽をもつ何 十億もの銀河系が識別されたことを知ってからは、数なんていくらあっても怖くない!

 死とは目眩くような邂逅、<永遠>・<無限>・<愛>との素晴らしい邂逅なのだ。人間の愛には必ず苦しみがついて回る。自分を与えつくそう としても決して心行くまでは与えられず、愛する人を心行くまで知ることはできない。必ず、言い表せないこと、名伏しがたいこと、到達し得ない部分が残る。 我々を残してこの世を去っていく人たちはそのときようやく、神の知を通じ、我々のもっとも奥深いところと接し始める。

 生きることは愛すること、愛することはもっとも苦しんでいる人をまず第一に助けること、これをみなが知る日が早く来るように!

アベ・ピエール : 著 : 「遺言・・・苦しむ人々とともに」 : 人文書院